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早稲田大学大学院商学研究科(昼)東出研究室 2007年3月修了 小磯 武さん(現在、ハイテクベンチャー企業 マーケティング部長)

Photo  今、振り返ってみるとWBSで得られたものはたくさんあったと思う。その中でも大きなものとしては、(1)ビジネスストーリーの構築力、(2)アジアングローバルセンスの習得、(3)異種業界との交流の3つが挙げられる。

  私はWBSを卒業後、前職の同僚がスピンアウトして作ったハイテクベンチャーに就職した。WBSに入学前は、研究者としてこの事業に携わっていた。会社名は違うものの、実質的には前の職場に戻ったような感覚である。ただ、大きな違いは、大企業という肩書きから、誰も知らないベンチャー企業の肩書きになったこと、そして私の仕事が研究だけの枠組みだけでなく、事業全体の方向性を考える仕事になったことである。
  WBSで培ったビジネスストーリーの構築力は、現在の会社に入社して直ぐに役立った。私は、WBSに入学前、新規事業にずっと関わっていた。その経験から、新規事業にはビジネスストーリーが非常に重要であるということを実感していた。WBSでは、ビジネスプランを書く授業があり、ビジネスストーリーの構築力を身につけるには最適な環境である。私はこれを利用して、積極的にビジネスプランを書くように努めた。その結果、ベストなストーリーかは別として、市場、製品・サービス、戦略、ファイナンスといったすべての要素を考慮したビジネスストーリーを構築する力を身につけることができた。このお陰で、今の会社に入社してすぐに、資金調達のためのビジネスプランをスムーズに作成することができた。また、交渉や議論の場でも全体のストーリーを考えた発言をすることができるようになった。

  WBSではアジアングローバルセンスも身につけることができた。WBSの特長の1つにアジア人の留学生が多いことが挙げられる。アジア人の留学生とは、ゼミや授業内でのディスカッション、グループワークなどを通して、彼らの独特な考え方や日本人との共通点を感じることができた。コミュニケーション言語はどうしても、英語が主流となってしまうため、100%の意思疎通は不可能であるが、じっくりと時間をかけて話をしていくにつれて理解を深めることができた。今の会社では、欧米よりもアジアとの関係が深い。顧客や競合という視点よりも、ビジネスパートナーという関係でやり取りすることが多い。工場がアジアに集約しているという最近の傾向からも、今後益々パートナー関係は重要になってくると考えられる。アジアングローバルセンスばかりでなく、WBSで得られたアジアの人脈も将来大きな価値を生み出すかもしれない。

  WBSで得られた3つ目のものは異種業界との交流である。私は製造業しか経験したことがなかったため、他業界のことは全く知らなかった。WBSには様々な業界出身の人たちが集まっている。そのため、今まで知らなかった業界の常識や見方を学ぶことができた。新しいことをやったり、何かを変えたりするには、色々な視点で物事を見る力が必要である。製造業だけの狭い視点で新しいビジネスを考えるには、当然ながら限界がある。銀行、証券、投資ファンド、商社など多くの視点でもビジネスを見られるようになれば、アイデアの幅が広がるばかりか、的確な意思決定ができるようになる。現在、私はベンチャー企業ということもあり、幅広い業界の方と接する機会が多い。WBSに入らなかったら、製造業だけの狭い視点でしか考えられず、自分の判断に自信を持てなかったと思う。

  最後に、ビジネススクールと直接関係ないことかもしれないが、会社から離れ、2年間じっくりと自分を見つめなおす時間があったことは、非常に良かった。自分にとって最も有意義な人生とは何かをじっくり考えることができた。今歩んでいる道が最も良いとは正直わからないが、少なくとも迷いはなくなった。


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